【響け!ユーフォニアム】久美子ちゃんの心理描写が熱い!やっぱ花田大先生だわ・・・

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  • 響けユーフォニアムについてとても興味深い考察をしていたのでまとめました

  • 以前、一部の方から「響け!ユーフォニアム」の感想を書いてほしいと言っていただいていたので、これからしばらく連投しようと思います。個人的な感想なので完全に独断と偏見に満ちていますが、50ツイート近く続く可能性があるので、興味のない方はしばらくミュートかリム対応でお願いします。
  • まず結論から。僕のユーフォニアムの評価はハッキリしています。一言でいえば、偉大な失敗作という言葉に尽きる。誤解を招きやすい表現ですが、これは僕のアニメ評における最大級の賛辞のつもりです。僕にとって傑作と失敗作は矛盾しない。
  • むしろ失敗の名にすら値しないアニメ作品がいかに多いことか。あらゆる作品は失敗作であると偉い人は言いますが、そういう意味でユーフォは、少なくない欠点も含めて、テレビアニメ史における一つの試金石になったのではないかと思う。エンタメでありながら、アニメとは思えないサディズムがある。

  • そもそも、なぜここまでユーフォに入れ込んだのかといえば、1話放送時、久美子というキャラクターの造形の仕方に、これまでにない京アニの挑戦的な姿勢を見てとったからです。明らかに、かつての京アニのヒロイン像と一線を画した描き方をしている。1話を中心に具体的に検討していきます。
  • 1話の久美子はどう描かれていたか。思ったことが口をついて出る、一見可愛げがない、何がしたいのか行動原理がわからない、入部の動機が見えにくい。特に視聴者が面食らったのは、最後の入部の動機の描写でしょう。事実、放送開始当初「なぜ入部を決めたのかわからない」という否定的意見が目立った。

  • しかし動機の見えにくさが必ずしも描写不足を意味するわけではない。ここでは入部の動機がセリフに出てこない代わりに、アンニュイな表情カットの積み重ねや、初めてマッピが吹けた時の姉との回想、そこに至るまでの友人とのやりとりによって、いわばファジーな決断を彼女の心情に添って描いています。
  • こういった作劇の方法は従来の京アニ作品にはなかったものです。しかも母親や幼馴染との日常芝居など、本来見せるべきではないキャラの裏側を、妙な生々しさで積極的に見せていく。明らかに久美子という女の子を、キャラクターというよりも一人の人間として描出しようとしている姿勢が読み取れる。
  • 従来のテンプレートなアニメ芝居にそぐわないこの妙な生々しさは、物語の構造にも通底しています。いわゆるシナリオが上手い凡百のアニメ作品とは異なり、展開の面白さよりも、主人公の繊細な心情描写の演出が最優先されている。ストーリーはむしろ平凡ですらある。

  • ためしに久美子の心情変化を追う形で、簡単に1話の流れを振り返ってみます。同じ全国出場を目標に抱きつつも、覚悟の違いによる認識のズレから余計な一言を麗奈に放ってしまった久美子。その心のしこりが消えない中、何気なく入部しようと見学するも、当の麗奈が同じ学校であり、同じ部に入ると知る。
  • 葉月たちの前で入部を保留する久美子。公園のベンチで幼馴染と会話中、麗奈との経緯がフラッシュバックし、後ろめたさから逃れるように入部を取り消す。自室でサボテンに弁明する久美子。しかし楽器を始めるきっかけとなった姉から吹部をやめるのかと問われ、一人コンクール当時に思いを馳せる。
  • どうしようかとぼんやりしていると、初心者の葉月が初めて吹けたのを見て、自分の原点を思い出す。改めて葉月たちから入部の勧誘を受ける久美子。翻意して入部を決める。そしてトラウマであった麗奈に声をかけようと息を呑むところで1話は幕。こんな感じでしょうか。
  • こう見ると、徹底して主人公に寄り添ってドラマが描かれようとしていることがわかる。しかしなぜ久美子は入部を決めたのか。ここで重要なのは「入部の動機を彼女自身が認識できていないのではないか」ということです。けいおんの唯ちゃんが入部の動機に自覚的だったのとは対照的な描き方をしている。
  • 久美子自身にもわからないからこそ、なんとなく入部しようとしたり、建前では渋ったり、本音では翻したり、再び入部を決意するに至ったりする。さらにここで入部の経緯を思い出してみれば、彼女のキャラクター上の特性が見えてくる。要するに久美子というのは「主体性に欠けるキャラ」です。
  • 同じく主体性に欠けるキャラクターには、既に氷菓の折木奉太郎という先例がありますが、省エネ主義という彼の性格が、サブキャラの福部里志によってわかりやすく解説されているので、久美子の描き方とはまったくアプローチが異なるといえます。里志の解説はいかにも説明臭くて鬱陶しいですが。

  • 姉の影響で楽器を始め、友人の強い誘いがなければ入部しなかっただろう久美子は常に受け身の存在です。そんな彼女が、なぜ一度取りやめた入部を再び決意したのか。そこから逆算すれば1話の段階で答えが見えてくるのではないか。結論からいえば「音楽(ユーフォ)が好き」だからです。
  • むろん1話では、久美子が音楽が好きであることは一言もセリフとして出てこない。しかしそうでなければ、マッピで喜ぶ葉月に対する久美子の微笑みや、麗奈から逃げたい→克服したいという心境の変化の説明がつかない。重要なのは、そのことに久美子自身が「無自覚である」ことです。
  • ①久美子が実は音楽が好きであること、②しかしそのことに無自覚であること、この2点を念頭に置けば、おのずと物語全体の流れが推測できる。例えば上記2点と、1話ラストで久美子が何をしようとしていたのかを照らし合わせてみれば、本作の本筋が「久美子の成長物語」であることは自明です。
  • 1話冒頭で主人公の克服すべき課題(麗奈との経緯)が提示され、1話ラストで主人公の成長の意志(麗奈と和解したい意志)が示される。そして「主体性に欠けるキャラ」が成長するとすれば、その「主体性の獲得」が物語の最終目標になると考えるのは自然でしょう。
  • また、麗奈というキャラの特性を考えれば、彼女が主人公と対比的に配置されていることも明らかです。つまり音楽への愛に自覚的である麗奈が、同じ愛に無自覚である久美子を牽引するポジションにあること、この二人の「和解」がドラマ全体のターニングポイントになるだろうということ(8話が該当)。
  • 以前にも呟いた通り、原作を読まずとも1話の段階でこの程度の推論は十分に可能であり、仮に推測できずともニュアンスとしては視聴者に概ね伝わっていたはずです。少なくとも物語の方向性は読み取れるように描かれている。それらをセリフではなく、さりげない演出や間で見せようとする姿勢が偉い。
  • (ちなみに実際の放送では、大まかにいえば1話で久美子の課題と成長の余地が提示され、4話と5話で成長の兆し、6話で久美子ならではの活躍、8話で麗奈の「特別」思想に触れ(劣等コンプレックスの克服)、12話で1話冒頭の麗奈に追いついた久美子(成長の完了)が描かれています)

  • ただ、ここで肝要なのは、このように推測できるように描かれていることよりも、物語としての展開の面白さ(シナリオ的な上手さ)をなかば犠牲にしてまで、久美子というキャラクターの感情芝居に重きを置き、そこにカメラがしぶとく付き合おうとしている点です。ここが決定的に従来の作品とは異なる。
  • いうなれば、主人公がシナリオに都合よく引きずられていないだけでなく、久美子という没個性的なキャラクターを受け付けない視聴者から不評を受けるリスクが高くなることを見越した上で、なお積極的にカメラが彼女のネガティブな側面を捉えようとする作り方をしている。京アニの本気度が窺えます。
  • シナリオ上の因果関係によってではなく、等身大の女の子である久美子の心情や無意識に振り回される形で芝居が組み立てられている。これは視聴者側におもねることなく、ドラマとして真摯に描き切ろうという制作側の意志表示と見て取れるのではないか。1話初見時の印象は大袈裟にいえばこんな感じです。
  • 描き方自体はとてもさりげなく、人によってはテンポが遅いなどの不満もあったでしょうが、少なくとも僕には衝撃だった。その描出に成功しているかどうかはそれぞれの受け手にもよるでしょうが、失敗であろうとなかろうと、それを商業作品上で成立させようと挑戦する気概は買ってしかるべきだと思う。

  • ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
  • 本当にごめんなさい

  • とはいえ1話の段階では、正直に言ってその芝居の深さや展開にはまだ半信半疑であり、お世辞にもお話の作り方は上手いとは思えなかった。決定的だったのは次の2話、滝先生が生徒たちに全国を目指すよう「仕向ける」シーン。いかにも自然に描かれていますが、あれには度肝を抜かれた。
  • さりげなく描かれていますが、この時点で指導者としての有能さや葵先輩の挙手が部内の問題と関わりがあることなど、その空気の重さを通して深く描出しえている。滝先生のキャラが立つと同時に、部内の問題が間接的に露呈する名シーンです。生徒たち自身にさえ見えていない心理的攻防が身につまされる。
  • なぜこの時点で滝が指導者として有能だとわかるのか。滝はまず、「生徒の自主性を重んじる」とか「皆さんで今年の目標を決めてほしい」などと言いながら、去年の目標を黒板に書き出します。全国大会出場。すると部長が「それはスローガンみたいなもので」と、その言葉が本気ではなかったと注釈する。
  • そこで滝は「では、なかったことにしましょう」と言って、全国大会出場の文字に大きくバツを入れる。「私自身はどちらでも構わない」と念を押しつつ、全国を目指すのか、楽しい部活のままでいくのかと、二者択一を突きつける。結局、副部長の発案で多数決を取り、全国を目指す形に落ち着く。
  • しかしこのシーンを見て、本当に生徒たち自身が全国に行きたいと思っているように見えるだろうか。滝が手を「パン!」と叩いた時、明らかに彼らの表情は人質のそれです。少なくともこのくだりで本気の姿勢を見せているのは、しっかり肘を伸ばして挙手している麗奈のみ。大半は手が頭よりも下です。
  • ここではっきり読み取れるのは、滝が意図的に生徒たちの言質を取ったということです。そもそも彼は1話で何をしていたか。過去のコンクール演奏を聴いていたではないか。つまり彼は全国を目指すかどうかは皆さん次第などと言っておきながら、ハナから全国を目指す以外の選択肢を求めていないわけです。
  • 滝は生徒たち自身に「自分たちが決めた」と植え付けさせるために、再三「私はどちらでも構わない」と繰り返し、二者択一を迫る。ここで滝が狡猾なのは、その直前に全国大会出場の文字に大きくバツをつけることで、生徒たちの無意識に罪悪感を植え付けている点です。その弱みに付け込む形で選択を迫る。
  • しかし逆にいえば、そうせざるを得ない事情があったのだろうとも推察できる。おそらく滝は、副顧問から部の現状について先んじて聞かされていたのでしょう。だから「全国目指して頑張りましょう」などと押し付ける形になるのを避けたかったのかもしれない。ただでさえ高校生はあまのじゃくなんだから。
  • 滝がどこまで意識的に計算ずくだったのかは不明ですが、手を「パン!」とした様子から鑑みるに、全国に対する秘めたる情熱はこの時点で明らかです。また、この場面で多数決という最も民主的に見えつつ、最も安直で愚かな解決手段に飛びついてしまうあすか先輩の青臭さも、実に高校生らしくて良い。
  • といったように、同調圧力を逆手に取った滝の有能さのみならず、滝の秘めたる熱意や、滝のやり方でしか解決しえないだろう何らかの心理的トラブルが過去にあったこと、そのヒントが葵先輩のアリバイ作りにあることなど、2話のこのシーンだけで様々なファクターが読み取れます。

  • しかもここで上手いのは、久美子の葛藤(麗奈との内的ドラマ)が、全国を目指すか否かという部全体の問題(外的ドラマ)と不可分に結びついており、この物語が久美子という個人レベルのドラマを主軸としながらも、同時に部全体の群像劇として、互いに絡み合い、補い合う形で描かれている点です。
  • さらに麗奈だけが肘をピンと伸ばしているカットも、3話ラストでいきなり叫び出すシーンの動機としてきちんと繋がっている。「こんなはずじゃないのに!」というやるせない感情の爆発から逆算するだけで、4話を待たずとも、この学校を選んだ彼女の動機が滝にあることが推測できるように描かれている。
  • そのわかりにくさとテンポの悪さからしばしば批判されがちな1話、2話ですが、このようにユーフォというアニメは、これまでとは異なるアプローチによって作られたアニメであり、従来のアニメ観の鋳型で判断してしまっては、やはりその価値を見誤ってしまいかねないのではないかと思います。

  • えーと、ここまで語った内容は導入でして、本当に書きたかったのはここからなんですが(笑)我ながら長すぎる。2話の滝のシーンも素晴らしいのですが、このアニメはとにかく芝居の深さや生理描写が他のアニメと一線を画しているので、後日また改めてそのあたりに触れてみたいと思います。あざした。
  • 「響け!ユーフォニアム」主人公・久美子の心情描写に寄り添う京アニの本気 うむ、かなり挑戦的な描きかたで毎週びっくりしながら見てたけど、こうはっきりと言葉で説明が出来なかったよ

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TVアニメ『響け!ユーフォニアム』オリジナルサウンドトラック「おもいでミュージック」試聴動画

コメント

  • 1.匿名さん

    くみこたそー

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  • 2.名無しで叶える物語さん

    なにこの長文キモ…

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  • 3.名無しで叶える物語さん

    演出に対してなんとなくでは捕らえられるけど、実際言葉にしてそれを分かり易く伝えるのは非常に難しい、個人的にユーフォが今までのアニメとは違い実写の映画を見てるかのような気持ちにさせられた理由がわかった気がする、演出とそれに応えるアニメーターの質がほんとに素晴らしい作品だと思ったわ。

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  • 4.名無しで叶える物語さん

    ※2
    この人脚本とかやってる人みたいだから普通に作品を分析してるだけだろw
    脳みそ使わずに作品を消化してるヤツはこんな頭悪そうなコメントしかできないのかよ

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  • 5.名無しで叶える物語さん

    4に激しく同意。

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  • 6.匿名さんさん

    偉大な失敗作・・・・・なるほどって思ったわ

    ※3
    自分も同意です

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  • 7.名無しで叶える物語さん

    目標を決めるところの考察の「しかし逆にいえば」の後の推察が飛び過ぎ
    そうせざるを得ないわけではなくそういう正確なたぬきのだけな可能性も他の予測もたてれるはず
    原作読めばわかることをアニメから読み取ったように見せ掛けてるだけだ

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  • 8.名無しで叶える物語さん

    あすかが多数決という解決案に飛び付いて青臭い?
    部長が考えつく懸念をあすかが考えてないと思ってるなら何を見てきたのかと聞きたいな
    多数決提案したのはあすかだぞ
    あすかはどうでもいいからわざと手っ取り早い方法用いたんだよ

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  • 9.名無しで叶える物語さん

    ※8
    手っ取り早い方法を選んだ為に先生の真意を察することが出来ない
    ある意味でリアリストだけど青臭いって意味だよ

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  • 10.名無しで叶える物語さん

    ※8
    手っ取り早いからなのかは定かではないけど、一番しっくりくる理由となるとそうなるよな。
    少なくとも作中あれだけ自分本位で打算的な人物として描かれたあすか先輩に
    「青臭い」という言葉は似合わない。

    でも概ね言ってることは間違ってないと思う。
    たぶん主体性のない、没個性的なキャラだからこそ、久美子役の人の演技も
    他のアニメと違うアニメらしからぬ演技になってるんだろうなぁ。
    ああいう演技すごく好き。

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  • 11.名無しで叶える物語さん

    過去の演奏を聴いてたとあるが、あれは北宇治ではなく久美子と麗奈の中学時代の演奏だったはず。

    多分滝先生が二人のことを知っている知っていないに関わらず、個人的に惹かれたからあの楽曲を聴いていて、その時のメンバーが部内に居るなら北宇治でも全国出場が有り得るんじゃないかと視聴者に期待させるための演出じゃないのかなと思った。

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  • 12.名無しで叶える物語さん

    コメント欄覗くと楽しいなwwww色んな人の考えがあるんだな

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  • 13.ゆきのんさん

    アニメらしからぬアニメが一番良いなと思う時期が僕にもありました

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  • 14.名無しで叶える物語さん

    ※8
    青臭いって単語はあまり似合わないような気がするかな確かに
    醒めている、というニュアンスのが合ってると思う

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